準同型定理は自明です

最近の私の中でのマイブームが「自明」という言葉なのですが、周りの人間に「それは自明じゃない」と強く反論されます。

そんな僕が一番初めに自明だと言い始めた準同型定理について、なぜ自明なのか、自分の中のイメージをここに記したいと思います。

 

ここでは群準同型定理のお話をしたいと思います。(環や加群もほぼ同じイメージです)群準同型写像f:G→Hに対して、これの性質を崩さない全単射な群準同型写像にするにはどうすればよいかを考えてみたいと思います。

全射は比較的簡単で、fをf:G→f(G)と値域を制限すれば、これは全射になります。しかも、f(G)は群になるので非常〜〜〜に嬉しいのです。

では単射にしたければどうすればよいでしょうか?一番シンプルな考えとして、fで移した時に同じ行先に向かうようなGの元を除けば、fは単射になりそうです。

しかし、これはあまり嬉しくありません。なぜなら、Gのfでの同じ行先のものを除いたものは群であるかどうか、一般的には分からないからです。

そこでもっと別のアプローチとして、同じ行先のものをグループにして一つの元として考えるとどうでしょう。結果として、これは剰余群と呼ばれる群になってくれて、この剰余群から値域を制限したものは全単射群準同型になることがわかりました。

 

このような感じで、(少なくとも初等的な範囲は)一番初めに考えた人の気持ちを考えていけば、ほとんどの定義、命題は自然に自明になると思います。だから、新しい概念を考えるときにきちんと経緯を話してくれている本を読むと、自然と「自明な本だ」(褒め言葉)と口走ってしまいますね。